魏延伝
終章
「朝よー。早く起きなさーい」
「はーい」
「2000年の目標は『遅刻しない』でしょ。いつもぎりぎりじゃないの」
「ぎりぎりでも間に合ってるんだから良いじゃない」
「とにかくさっさとご飯食べちゃって。お父さんはもう会社いったわよ」
「う〜ん・・まだ眠いかも・・」
「何言ってんのよ、ほら、早く」
「そんなせかさないでよぉ」
「誰に似たんだか・・・」
「あ、そうだお母さん」
「なあに?」
「あんね、昨日見つけたんだけど・・・」
「食べるか喋るかどっちかにしなさいよ」
「うん・・・もぐもぐ・・ごっくん。・・・・。でね、この仮面、何?」
「あぁ・・これね。私もよくは知らないんだけど、お父さんの遠いご先祖様の物らしいわよ?」
「ふーん。案外値打ち物なのかな?」
「でも、ちょっと不気味じゃない?」
「うん。ちょっと怖いしね」
「結婚して、この家に引っ越す時に初めて見せてもらったんだけど、なんか・・・ねぇ」
「大事なものなんだろうね」
「そうね。気持ち悪いけど・・・でも」
「でも」
「あら・・先に言って良いわよ」
「お母さんこそ先に言ってよ」
「やーよ」
「んじゃ、同時に言おうか?」
「そうね」
「せーの」
『嫌いじゃないわ』
劇終。
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