6月15日(たくの日記より)


 スイートリトル工場にペンシルロケットが放置されているらしい。
 それを知ってからすぐに取りに行こうと思ったけどそれは明日で良い。先に爆薬を手に入れるべきだと思った。
 ロケットはいつでも取りにいけるけど、爆薬はタイミングが難しい。理科室はいつも先生がこもってて、怪しげな実験を繰り返してるからだ。

 しかし!

 ぼくはなんて運が良いのか。ちょうど、先生は今日から出張で理科室には誰も居ない。
 休み時間にこっそり理科室に侵入し、爆薬をちょっとだけお借りする事に成功した。

 しかし!

 ぼくはなんて運が悪いのか。
 誰かに現場を見られてしまった。慌てて逃げたので、誰にみられたのかもわからない。向こうはきっとぼくがぼくである事に気づいただろう・・・。
 先生は出張だからしばらくは怒られずにすむけれど、まさとかなおやにバレるとそれをネタにいじめられかねない。

 とりあえず、ぼくは姿をくらませる事にした。屋上のカギを針金で開けて、外からそれを閉める。ここには誰も上ってこれないからね。

 安心していたら、しばらくして誰かが扉のカギをあけた。ぼくはびっくりして近くにあったポリばけつの中に隠れた。
 その「誰か」はおもむろにぼくの方に近付いて、声をかけてきた。
 フタを奪うわけでもなく、蹴飛ばすわけでも怒鳴るわけでもなく、話し掛けてきた。

 でも、ぼくは彼を拒否した。

 すると彼は、ぼくのことを大事な友達だって言った。
 さっぱり意味が分らないけど、ぼくも何となくそんな気分にさせられた。

 爆薬を持ち出した事を秘密にしてくれるかと聞いたら、彼・・すみげは「うん」と言った。

 ポリばけつから抜け出す。すみげとは初対面の筈なのに、確かに何となく前から知ってる感じがした。
 ぼく達はしばらくおしゃべりして、すぐに仲良くなった。すみげはマザーズデイからここまで旅してきたと言う。

 その旅に、ぼくは誘われた。



 ぼくは二つ返事でOKしていた。自分でも意外だった。ぼくなんかがそんな旅に出て大丈夫なのか分らない。でも、
 行かなきゃいけない気がした。行きたいと思った。



 ぼくはとりあえずスイートリトル工場に行きたかったんだけど、すみげが既にそこでペンシルロケットを拾っていた。

 なんて運がいいのだろう!


 またこっそり理科室に戻って、解体してみた。
 意外と簡単な構造だった。材料さえ揃えばぼくでも作れそうな感じ。
 組み立てなおして、すみげに爆薬を見せてあげた。この爆薬は特殊で、手を叩くとその破裂音で着火する。
 それを教えると、すみげはためらい無く手を叩いた。

「あっ」

 止めるのは間に合わず、理科室は爆発でメチャクチャになり、ぼくは青くなった。すみげと急いで逃げた。

 寮に戻るわけにもいかず、ぼく達はホテルに泊まった。









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