6月12日(すみげの日記より)
今日は、れいの穴へ。
小さな井戸みたいなのがいっぱいあるんだけど、一箇所だけちゃんとハシゴがかかってたので、そこを下りていった。
で、迷った。
同じような道が続くから、どこをどう行ってるのかわからなくなる。多分、同じ所を何度もぐるぐる回ってたんだろうけど、何とか広い場所に辿り着いた。
井戸なんかじゃない。地下大河だった。
一番奥に、変な男の人がいた。
「オレは忘れられた男。いないのも同然。オレのことなんか無視していいんだ。
オレはどこにもいない男。人恋しくなったら生きていけない。
オレの言葉はいつもひとり言。生まれた時から今日までずっと一人でいた男。
運がいいとか悪いとか、そんな事オレには関係ないね。息をするのに精一杯さ」
こんな感じのこと言ってた。
「会わなきゃ別れもない」っていうのと似てる気がした。あれを実践するとこの人のようになるのかな。
やっぱりさみしいと思う。
「お前も忘れられた男なのか?」
そう聞かれて、ぼくは首を横に振った。
「オレの事を無視しろよ」
そう言われて、どうしたら良いか困った。
「一人はさみしい」なんていうのは、ぼくの意見であって、この人の意見じゃない。
この人が本当はさみしがってるのならともかく、心の底から1人でいたがってる気もするし、その場合、変なおせっかいは失礼なだけかとも思った。
なのでぼくは「うん」と答えた。
男の人は「ありがとよ」って言ってどこかへ行ってしまった。
よく考えたら返事したりお礼言われたりって、全然無視してないんだけど・・・結果的に良かったようだ。
ここを離れたっていうことは、もう孤独にすごさないって事かな。
なんかマジカントは難しい。
出口が見えた。出ると、目の前が光に包まれて、気がつけばピンクの岩の前にいた。
よくみると、マジカントに入った場所とは違う場所だ。洞窟を出ると、山の中だった。
イーグルに襲われる。カラスとは比べ物にならない凶暴さだった。何とか追い払いながら、一番近くの町に辿り着いた。
早速ホテルに入る。散策は明日からにしよう。
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