6月4日(すみげの日記より)
カナリア村を出て、東へ向かった。橋の側におまわりさんがいた。どうやらずっと封鎖されてたらしいんだけど、動物園の騒ぎがおさまったから通れるようになったらしい。
そういえばマザーズデイの町長さんに話しに行ってないけど、まぁ、面倒臭いからいいか。
おまわりさんはこの先の洞窟に変な岩があるから、一度見てみるといいと教えてくれた。
で、行ってみると・・・
確かに変な岩があった。こう・・・ピンクのでかい巻貝みたいな形。
触ってみると、なんか頭の中に言葉がわいてきた。直接話し掛けられてる感じ。
「かみのしっぽはどこにある」
意味不明なんだけど、ひいおじいさんの日記に似たような事が書いてたのを思い出した。
日記には「かみのしっぽはどこにある」の続きに「あまかけるふねのわすれもの」と書いてある。ぼくはそれを頭の中で読み返した。
その瞬間。ぼくは異世界にいた。
いや、これが本当に、異世界なわけで。なんだこれ。全体が淡いピンクがかった世界。
変な人や変なネコがいっぱいいた。ここは「マジカント」っていうらしい。
問題はここから出る方法がサッパリ分らない事なんだけど。外の世界自体知らないって言う人もいるし。
ここで、「会わなきゃ別れもない」って言う人にあった。確かにそうだと思った。
別れるのはさみしい。でも、出会うのはそれ以上に楽しいような気もする。うーん。よくわかんないや。
お城に行くと、クイーンマリーって女王様とすんなり会えた。
この国ではみんなが友達になれるし、欲しいものは何でも手に入るんだって。まるで夢だな。
城の人が言うには、クイーンマリーはよく夢でうなされてるらしい。いたずらした子供をしかりつけて、少しだけ歌を歌って、「思い出せない!」って言って目がさめるって。
ぼくが覚えたあの歌と関係あるのかなぁ?考えすぎか。
ただ、その後に会ったギター弾きのお兄さんの詩を聞くと、やっぱり無関係ではない感じ。
キューピー人形なぜ泣くの
それはカナリアが鳴くからよ
サルが歌えばピアノも歌う
ピアノはお化けが弾くのかな
砂漠のサボテンさみしそう
ひとりで夜な夜な歌ってる
ドラゴン倒れて音符が残る
イヴが最後に歌うとき クイーンマリーに時間が戻る
ラララ 不思議なララバイよ
ララバイ バイバイ さようなら
人形、カナリア、サル・・・・これって絶対、あれだよなぁ・・・
重要な情報がもう一つ。東の方に穴がいっぱいあって、どれかから外の世界の音が聞こえるって。きっとそこが出口だろう。
早速行こうと思ったんだけど、曲がったスプーンを直してあげた人から「泊まっていけ」って、ほとんど強引に引き止められたので、今度にしよう。
マジカントはとても居心地が良いので、しばらく居るのも悪くない感じがした。
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