お髭にまつわるエトセトラ

第1話


あれはまだ9歳の頃だ。
おれは周りの子供よりも「髭」が生えるのが少しばかり早かった。

そして・・・。
いじめられた。

子供というのは残酷なもので、笑いながら平気で人を傷つける。
無論、おれも同じように誰かを傷つけていたかもしれない。だが、傷つけたほうはその事を覚えてはいない。傷ついたほうは死ぬまでその悔しさを胸に刻む。

「うわぁ、こいつ、もう髭はえてるー」
「エーまじまじ?」
「な・・なんだよう・・・別に良いだろぉ・・・」
「ほら、見てみなよ。チョコッとだけど、髭生えてるぜぇ」
「きゃはははは。超ウケルー」
「マジ、オッサンじゃん。オッサン」
「やーい、オッサン♪オッサン♪」

何度泣いた事だろう。
何度その髭を剃ったことだろう。
だが、無駄だった。
泣いた所でいじめは無くならない。
剃った所でまた生える。

おれは開き直った。
髭の事など知らん。
ずっと伸ばしつづけてやる。

30年の月日が流れた。
しかし、無駄だった。
おれの髭は、あのころのまま。
剃ればすぐに生えてくるが、それ以上伸びなかった。

あのころ、みんなを先導しておれをいじめていた男、関羽は髭を伸ばし、今や「美髯公」などと呼ばれている。
どういうことだ?
何故、今になって奴が髭で人気を得るのだ?
許せなかった。
これは個人的恨みだ。
今、樊城に篭っているあいつを倒す。

呂蒙、今の彼に死角は無い。



つづく(ぇ

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