7月19日(すみげの日記より)


 今日の目覚めは最悪だった。物凄い轟音と地響きだ。

 覚えがあった。忘れるはずもない。背筋が凍る気持ちだった。
 ぱうえるとぼくとゆきえを襲った、あのロボットの時と同じ音と揺れだ。

 あの時とは違う、今度は赤い巨大ロボットだ。



 イヴが巨大ロボットに掴みかかった。物凄い金属音がひびき、ぼく達は見てることしかできなかった。



 突然、イヴが爆発を起こした。


 巨大ロボットは粉々になり、イヴは小さな破片だけを残した。


 巨大ロボはぼく達からどれだけのものを奪えば気がすむのだろうか・・・

 イヴの破片にはオルゴールが残されていて、キレイなメロディが流れてきた。
 その瞬間だ。

 ぼく達はマジカントにいた。
 クイーンマリーの不思議な力でぼく達は呼び出されたらしい。
 クイーンマリーは今までに覚えた歌を聞かせて欲しいといったので、ぼく達は3人で歌った。ぼく達の歌は途中で終わったんだけど、クイーンマリーはその続きを歌って聞かせてくれた。とてもキレイな歌声。ぼく達はそのメロディも覚えた。


 クイーンマリーから「ギーグ」という宇宙人のコトを聞いた。本当の子供のように可愛がっていたそうだ。
「ジョージ!あなたの妻のマリアです。あなたの待つ天国に、私も今から向かいます」

 ぼくは目を見開いた。
 クイーンマリーはぼくのひいおばあちゃんだったのだ!

 待って!

 クイーンマリーは・・・ひいおばあちゃんは優しく微笑むと、風の中に消えていった。マジカントの国も消え去って、ぼく達はホーリーローリーマウンテンにいた。


 目の前に洞窟があった。
 入ると、カプセルの中に入れられた人がたくさんいた。
 信じられない光景だった。

 その中の一人が、ふっと目を開けてぼく達に話し掛けてきた。


 イースターの人だった。


 ゆきえのママもここにいるかもしれない。



 その時だった。

 洞窟の先で大きな音がした。行ってみると地面に大きな穴があいていて、そこからこれまた大きな宇宙船が浮かんできた。




 ガラスの向こうに何かいた。





 ゆきえもたくも気付いたようだ。
 直感でわかった。


 ギーグだ。



 ぼく達は攻撃を受けた。でも、その正体が何か分らない。何をされているのか分らない。

「すみげ!あなたの一族には本当にお世話になっています」

 ギーグはぼくの名前を知っていた。でもその言葉に感謝の気持ちは感じられない。

「幼い私を育ててくれたジョージの妻・・・マリア」

 ひいおじいさんとひいおばあさんは宇宙に連れ去られた時、このギーグと一緒にいたのだ。

「私たちの星から大切な情報を盗み出して私たちに歯向かおうとした・・・ジョージ」
「そしてその夫婦の子孫。また私たちの計画をジャマしようとしている・・・すみげ!あなたの事だ!」

 逆恨みだった。ギーグの星の人はこの地球を奪おうとしたのだ。ひいおじいさんはそれを止めようとしたのだ。
 ぼく達はギーグにさらわれた人たちを救いたくてやってきた。ギーグの計画はなんとしても止めなきゃいけない。

「もうお帰りなさい。みにくい地球人たちと共に滅びてください」

 ギーグの攻撃はなおも続く。ぼく達は何とか超能力で耐え忍んだ。たくがエアガンで攻撃するけれど、通用しているのかどうかもよくわからなかった。

「その虫けらのような力ではどうすることもできない」

 確かに、ぼく達だけの力ではあの巨大ロボットにさえ歯がたたない。でも、諦めるわけにはいかなかった。

「すみげ・・・あなただけ、一人だけなら助けてあげても良い。私と共にマザーシップに乗りなさい」

 いやだ!
 大声をあげた。一瞬、ギーグの表情が哀しげに見えた。

「ならば・・・友達やみにくい地球人と一緒にここに眠りなさい」



 クイーンマリーが・・ひいおばあさんはギーグにいつも子守唄を聞かせていたと言っていた。
 でもそれは眠らせるためではなく、悪さをした時に叱る為に唄っていた・・つまりギーグは地球人の子守唄が苦手だったのだ。



 ぼく達は唄った。

 古いオルゴールの歌を。
 美しい声のカナリアの歌を。
 陽気なサルの歌を。
 オバケ屋敷に残されたピアノの歌を。
 広い砂漠で懸命に生きる不思議なサボテンの歌を。
 マジカントの強く気高いドラゴンの歌を。
 ジョージの残したイヴの歌を。
 ギーグが何度も聞いていたクイーンマリーの歌を。



 ギーグのマザーシップは洞窟の天井を突き破り、遠い宇宙へと消えていった。










 ぼく達の冒険は終わった。




 え?ゆきえのママやぱうえるはどうなったかって?





 それはね─────────











 お わ り 









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