６月２日（すみげの日記より）
とんでもない一日だった。
朝っぱらからいきなりミニーに叩き起こされた。電気スタンドがどうのこうの言ってたけど寝ぼけててよくわからず、とりあえずミニーの部屋に入ろうとしてビビッた。
ぼくめがけていきなり電気スタンドが飛んできたのだ！家庭内暴力か！？って、ミニーはぼくの部屋にいるしな。
ぼくは目玉が飛び出そうになりながらも反射的にドアを閉めた。ドアの向こうから、ガンッ！ガンッ！って電気スタンドが暴れる音が聞こえる。
電気スタンドは明らかにひとりでに動いてた。
一旦部屋に戻って、ミニーを落ち着かせてからぼくはバットを握り締めた。もう一度ミニーの部屋のドアを勢いよく開くと、更に勢いよく電気スタンドが飛んできた。
がっしゃん！！！
ぼくのバットは見事に電気スタンドを叩き壊した！
こんな光景をママに見られたらただじゃすまない･･･と、ふと思った。
ミニーはぼくの部屋を出ると、恐る恐るついてきた。ミミーの部屋も見てって。
ミミーの部屋に入ると、ミミーはベッドの上で布団をかぶって、助けて！とか叫んでる。そのベッドの上を、１体の人形がくるくると回りながら飛んでいた。
人形はぼくに気付くと、ゆっくりとこっちを見た。寒気がした。
なんとかバットを振り下ろすと、人形はさっと避けて、ぼくをからかうようにくるくる回ってる。
何度もバットを振るけど、当らない。
でも、突然飛んできたミミーの枕に人形は一瞬ひるんで、ぼくはその隙を逃がさずそれを叩き落とした！
ふぅっと、ぼくはその場に座り込んだ。
ミミーが壊れた人形をいじってると、突然やさしい音楽が鳴り始めた。人形にはオルゴールが隠されていたらしい。ミミーとミニーも聞き入っている。
ぼくは何となくそのメロディを覚えた。
とりあえず３人で下におりると、お鍋を持ったママが出向かえた。床にはフォークやらスプーンが散らばってて、ママも襲われたらしい。
ちょうどパパから電話がかかってきた。今おきた事を話すと、それは「ラップ現象」というらしい。ひいおじいさんがそういう事の研究をしてたそうなんだけど、パパはいきなり「冒険の時だ！」とか言い出して。
どうやらおかしな事が起きたのはうちだけじゃなくて、世界中らしい。
で、それを救えるのはぼくだとか･･･いや、ありえないし。
でも、なんか不思議な気持ちになってた。なんかよく分らないけど、行かなきゃいけない！って。
ママも、ミニーも、ミミーも心配そうな顔してたけど、強くは止めなかった。ぼくと同じ気持ちになってたのかも知れない。
地下室の、ひいおじいさんの日記を持って、ぼくは冒険の旅に出ることにした。
といってもどこに行けばいいのやら分らないので、とりあえずマザーズデイに向かった。
途中でカラスやら野良犬やらに襲われた。明らかに人間を狙ってる感じで、やっぱりこの世界に何かおかしな事が起きているようだ。
マザーズデイにつく。いくつか事件が起こってた。
まず、れいのラップ現象はこの街でも起こってたらしくて、みんな大騒ぎだった。
それに、カナリア村の方にある動物園の動物たちが暴れてるらしい。これはぼくを襲ったカラスや野良犬とも関係がありそう。
そうそう、デパートでカナリアのヒナをただで貰った。
そして一番驚いたのは、死者がゾンビになって人を襲うらしいって話だった。しかも、墓地で１人の女の子が迷子になったとか。
ここはやはり、ぼくの出番だろう。運良く町長さんと話ができたので、ぼくが助けに行くと言ったら喜んでた。体の具合がよければ私もいくんだけど･･･とか言ってたけど、ありゃ嘘だよなぁ。大人ってやつは。
とにかく、ぼくは墓場へ向かった。と言ってもお昼なので別段怖くはない。
なんて思ったのも束の間、本当にゾンビが襲ってきた！
バットで何度殴ってもなかなか諦めてくれない。でも、やつらは動きが鈍いので、ぼくは戦うよりも逃げる事にした。
奥へ奥へ行くと、棺桶が掘り出されてた。その棺桶がガタガタ動いてて、かなり怖かったけどぼくは思い切ってそれを開いた。
中にいたのはゾンビじゃなくて、女の子だった。
昨日の夜から迷子になってたピッピだ。ゾンビに襲われて、閉じ込められたらしい。
ピッピにフランクリンバッチってのを貰った。
ピッピと二人で町役場へ戻ると町長さんは大喜びで、動物園の騒ぎも見てきてくれないか？とか言い出した。
この人は何で町長になんてなれたのだろう･･･とりあえず引き受けて、動物園のカギも貰った。
その後ピッピの家へ。ピッピのママも大喜びで、ぼくを夕飯に招待してくれて、さらに夜は泊まっていけって。
とりあえずママに電話したら、ぼくがしばらく帰れない事は分ってるから、お世話になりなさいって。
大変な一日だった。冒険！って感じ。明日もこの調子で頑張ろう。
